輸出取引信用保険があれば、これまで信用状や前払い以外に安全な取引方法がなかったケースでも、オープンターム（オープンアカウント）を提供することにより、企業の競争力を維持・向上することができます。事実、世界貿易機関（WTO）によると、外国企業はオープンタームが提供された場合、販売ボリューム規模が平均40％増加するとのことです。
取引先に対して、与信取引（掛け販売）をしない場合、一般的に企業の競争力は低下すると言えましょう。特に輸出販売を行う企業にとっては、輸出取引信用保険はグローバルマーケットで闘える有利な競争条件を可能にしてくれるツールとなります。
新しい国・市場にビジネスを展開すれば、従うべき新しい文化や規則・規制への対応が必要になりますが、新たな顧客にアクセスする機会も得られます。その場合、製品・サービスの輸出に伴うリスクを管理するノウハウを備えていなければなりません。
輸出国に関連する主なリスクを特定するリサーチを行いましょう。これには不払いリスク、為替リスク、または政治的リスクが含まれます。多くの国には特殊な輸出入要件があるため、輸出相手国について詳しく調べる必要があります。一部の国では、賄賂や汚職に巻き込まれる可能性すらあります。輸出保険これらのリスクに備え、対処法を用意しておきましょう。リスクに備えておけば、債権回収にあたっても、効果や手順に大きな違いが生まれます。ユーラーヘルメスでは、主要国の輸出保険債権回収難易度や制度を簡潔に纏めたレポートを用意しています。
リサーチを通じて、信頼できる情報を見つけて顧客の信用力を確認しましょう。貴社にとって、売上拡大の必要性と、回収を確実に完了する必要性とのバランスを取ってください。法的義務がきちんと履行されるかどうかの商習慣や、情報の入手しやすさは、どこの国や地域でも同じ水準ではないということに注意が必要です。
輸出保険契約に伴う事務処理・書類作成について、輸出入関連の経験豊富な弁護士に契約条件を確認してもらい、潜在的輸出保険リスクを回避してください（厳しい納期遅延ペナルティ、負担が大きい損害賠償条項、知的財産の譲渡に関する条項など）。輸出保険紛争や訴訟を最小限に抑えるため、輸出保険契約にはすべての重要条件を盛り込みましょう。また、支払が期日を過ぎて遅延した場合の回収費用、遅延利息、訴訟費用を買い手企業が負担することを明記する条項を含める必要があります。輸出保険契約書は明確な文言で記述され、契約の準拠法が明記されている必要があります。
さらに、いずれかの段階で、輸出保険契約条件がハードコピーになっているよう確認してください。買い手企業側が印刷し、署名と日付を記入してもらうといいでしょう。オンライン注文輸出保険の際に条件をチェックするのと同じように、注文の実行前にこの作業を行うことをお勧めします。
万が一不払や支払遅延が起こった場合に備え、現地の法的手続きと言語について確実に理解してください。裁判外交渉を行う方法も確認しましょう。当社のオフィスや窓口のグローバルネットワークを通じて、ユーラーヘルメスの債権回収サービスを利用することも可能です。
取引関係やプロジェクトを軌道に乗せ成功させるため、取引先との長期的な人間関係を築く努力が欠かせません。信頼と理解の確保にはかなりの時間がかかるため、できるだけ早く始めるのがいいでしょう。柔軟性を持つことは、持続的な関係を築く上でも役立ちます。進捗に合わせて、市場参入計画や製品に適応できるよう準備をしてください。地元のパートナーと良好な関係を築いていれば、取り組みを改善するために必要なフィードバックを受けやすくなります。
パートナー、買収先、取引を希望するその他の企業について、徹底したデューデリジェンスを行いましょう。戦略的パートナー候補の評判と財務状態の調査は、非常に重要です。満たすべき基準のリストを作り、遵守してください。企業は時折、野心的な事業展開にすっかり興奮して、たとえば財務条件が魅力的でだからといって、戦略的に適合しない企業と取引するというミスに陥ることがあります。パートナーには事業目標及び価値観を共有する必要があります。
拙速な売上の実現や、利益獲得を期待しないでください。事業を展開しながら、取り組みを細かく調整し、改善していきましょう。困難に直面したら、企業にとって最初の海外事業がつまずくのは普通のことだという現実を思い出してください。
国によって異なりますが、投資を回収するには2～5年かかります。自社の進捗状況や市場の動向を必ず注視して、変化を先取りし、必要に応じて計画を更新してください。
